


すばらしく壮大でドラマチックな(蝋)人形小説です。
不気味でキュートでグロテスクで、怒濤でむごくて凶暴で、お茶目でかなしくて必死で、凄まじい憎しみが蔓延しているかと思えば、儚く小さいながらも確かな愛情がある。熱くて柔らかいけれど硬質でひんやりしていて、まったく人間ではなさそうなのにやっぱりものすごく人間だったりもします。
のちにマダム・タッソーとして、ロンドンに蝋人形館をオープンすることになる、「おちび」と呼ばれていた女性が綴った生涯の回想。
舞台は革命期のフランスです。
ゴシック系のドールを愛好する方の心に刺さるはずなのは確信できるのですが、人形好きの自覚がない方も、蝋とか石膏とか解剖器具とか標本とかギロチンみたいな、命のないモノたちにうっとりして心を閉ざすのに落ち着く方。…みたいな性癖がなくても、宮廷とか見世物とか民衆とか革命とか、めくるめく人間模様に血が滾るわって方にも読んでみてほしいです。そのどちらも好物っていう方には極上のエンタメであるかと思われます。
私はまだ本場のマダム・タッソーを訪れたことはないのですが、行かれた方はぜひ。
でも、今はなき東京タワーの蝋人形館の、カーテンの奥にあったあの怖いお部屋に入って、ぞくぞくしたっていう記憶のある方にもおすすめできそうです。お化け屋敷やサーカスの雰囲気が大好きな人もきっと楽しめる気がする。
装丁がかわいくて、読まなくてもインテリアになるので、とりあえず買ってみるのがよいです。
絶賛してしまった… 刊行はすでに1年近く前なのですが。
#人形の日
