閉塞的な時間は心地よいけど不健康ではあるので、外気に触れるという口実でジュリー・…

閉塞的な時間は心地よいけど不健康ではあるので、外気に触れるという口実でジュリー・マネについての展覧会を観に、16区のマルモッタン・モネ美術館へ。初めて存在を知ったのは数年前に乃木坂で開催されたルノワールの展示を見たときだったと思うのだけれど、猫を抱いて微笑む彼女の肖像は、特別に気に入ったというわけでもないのに妙に印象に残っていた。

ベルト・モリゾと、エドゥアール・マネの弟ウジェーヌの間に生まれたジュリーは、展示タイトルのmémoire impressionnisteが示すように、ルノワールやドガをはじめとする著名な印象派の芸術家たちに囲まれて育ち、生涯を過ごした。幼少期から画家たちのモデルとなり、母に教わりながら自身も絵を描き、絵画作品の収集に尽力した。

この展示では、彼女のモデルとして、収集家として、画家としての在り方に広く焦点が当てられ、いずれの側面も興味深かったのだが、私がとりわけ心惹かれてしまったのはやはり彼女と母モリゾとの関係だった。

モリゾがジュリーに捧げた愛情は、彼女自身の絵画に結実している、と書くと凡庸だけれど、幼少期のあどけなく無邪気な愛らしい姿はもちろんのこと、思春期のジュリーの、凛として色っぽく、憂いを帯びてどこか甘えたような表情は、おそらく母によってしか捉え得ず、娘もまた心を許していなければ決して描かれることのないものであるように私には思われた。そしてそのように心が通じ合うことは、特にこの二人のような関係にあってとても稀有であるかもしれない。

ジュリーが16歳の時にモリゾは病で命を落とし、すでにその2年前に父親も亡くしていた彼女はマネと親しかったマラルメや近しい画家たちに支援を受けつつ、その後の人生において、画家としての母の作品を世に広めることをみずからの使命と課すこととなる。作品を管理し、カタログ・レゾネの作成や展覧会の企画に携わり、書簡集を出版した。ジュリーの部屋のなかは、母の作品で埋め尽くされていたという。

ジュリーにとってモリゾがいかなる存在であったのかは調べなくてはわからないけれど(日記に邦訳があった)、母の描いた絵のなかの美しい娘の姿と、娘が情熱を傾けた母の画業をまとめた仕事とからは、両者が互いに対して抱いていた想いの強さと大きさとが伝わってくるようで、込み上げてくるものがあった。

並べて展示されている母娘が同じ題材を描いた作品や、マネが描いた有名なモリゾの肖像をジュリーがいたく気に入っていて自分でも模写していた、といったエピソードも微笑ましい。

こういった人物のために展覧会が企画されるというのは素晴らしく、またとても羨ましいことでもある。

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最後に、密かに嬉しくてときめいたのは、ジュリーの誕生日が私と同じだったこと!

ちなみにその日はクロード・モネの誕生日でもあるのだけれど、この美術館のモネのコレクションを観て、あらためてやっぱモネさんいい、となりました。